顧客の若返り図るハーレー、ベビーブーマーの高齢化で

アングル:顧客の若返り図るハーレー、ベビーブーマーの高齢化で

ロイター 6月23日(日)14時3分配信
http://amd.c.yimg.jp/amd/20130623-00000007-reut-000-2-thumb.jpg
6月21日、ベビーブーム世代が顧客基盤の中核であるバイクメーカーのハーレーダビッドソンは、同世代の高齢化に伴い顧客の若返りを図っている。写真はメリーランド州で昨年10月撮影(2013年 ロイター)
[シカゴ 21日 ロイター] - 1960―70年代の「反逆の象徴」であり、ベビーブーム世代が顧客基盤の中核であるバイクメーカーのハーレーダビッドソンHOG.N>。同世代の高齢化に伴い、同社は顧客の若返りを図っている。

同社のグローバルマーケティング責任者、マークハンス・リッチャー氏はロイターとのインタビューで、2012年は数年ぶりに顧客の平均年齢がベビーブーム世代ではなくなったと明かした。ベビーブーマーと共に歩んできた同社にとって、若い世代がけん引しつつあるというのは大きな変化だ。

リッチャー氏はそれは大したことではないとの主張を繰り返すが、これまでハーレーの成長を担ってきたベビーブーム世代の高齢化に伴う同社の「斜陽化」を投資家たちは懸念してきた。

UBSインベストメント・リサーチのアナリスト、ロビン・ファーリー氏は、顧客の平均年齢に関するハーレーダビッドソンの歯切れの悪さは、同社の顧客開拓への取り組みが精査されるのを避けるためだと指摘。同氏の試算によると、ハーレー愛好家の平均年齢はいまだに上昇しているという。同社はこれを否定しているが、たとえファーリー氏の計算が正しくても、新たなマーケティング戦略では平均年齢のような測定基準は昔に比べて重要ではないとしている。

これについて、ファーリー氏は懐疑的な見方を示しており、平均年齢は顧客基盤の中核であるが故に重要だと指摘する。

<顧客開拓の取り組み>

ハーレーダビッドソンの顧客基盤は中年の白人男性が圧倒的で、売上高の3分の2は北米市場に依存してきた。そうした一極集中を軽減しようと、数代前の最高経営責任者(CEO)が1964年以降生まれの消費者を引きつけようと改革を開始し、製品のデザインをリニューアルし、若者や女性、マイノリティーの支持を得られるよう努力してきた。

年間出荷台数を見てみると、金融危機前に記録した35万台から、今年は25万9000―26万4000台に減少する見通しで、投資家からは同社の顧客開拓が成功していないのではと心配する声も聞かれる。これに対しリッチャー氏は、同社顧客の平均年齢が現在47歳で、5年前に比べて1歳低下し、安定した状態だと説明した。もしそれが本当なら、2012年の同社の顧客は平均して1965年生まれとなり、顧客開拓の試みは成功していることになる。

しかし先述のファーリー氏は、同社が2008年の平均年齢を1999年の43.4歳、2004年の46.1歳から、48歳に上昇したとしていたと反論。こうした数字から推定すると、現在の平均年齢は50歳を超え、依然としてベビーブーム世代だと主張する。

一方、大半のアナリストは、顧客開拓の取り組みが成功しているとするハーレーダビッドソンの主張を受け入れている。モーニングスターのジェイミー・カッツ氏の推計によると、若者や女性などの顧客層は昨年、北米での販売台数の約3分の1を占めており、「改めて同社ビジネスの可能性を考えさせられた」と評価。出荷台数が金融危機前に戻るのはまだ先としながらも、「最大の懸念は顧客基盤の中核である年配の白人男性だったが、明らかに規模が縮小していた」と語った。

イリノイ州シカゴで自営業を営むロバータ・ラマーディンさん(49)はハーレーの魅力にとりつかれた女性のひとり。オートバイに自分が乗るとは考えたこともなかったというラマーディンさんだが、数年前にハーレーの代理店に夫を迎えに行った際、女性の顧客獲得を狙って販売された「スポーツスター883ロー」にまたがるとその場で購入。6年後には地元でハーレーのレディース会を率いるまでになったという。ラマーディンさんは「昔気質のいわゆる『本物のバイク乗り』の中には気に入らない人がいるが、それは残念なこと」だと語った。

(原文執筆:James B. Kelleher記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)
最終更新:6月24日(月)11時10分
ロイター
  すべてのコメントを読むコメント数:548平均投稿数:17.2件/時投稿人数:494