モノを大切にするという事2

去年の春先にアルミボディのトースターの
ゼンマイを直したネタ出しましたが覚えてますか?
今回は柱時計がちょっと調子が悪かったの様子を見てみました。

皆さんのお宅には時報を知らせる時計はございますか?
目覚まし時計じゃ無くてあくまで「時報」で鳴るモノですが
最近のその手は時報に歌が流れたり録音をした声が出たり
からくりが飛び出すモノもあるみたいですね。

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コレ我が家の柱時計なのですが私の祖父が大昔に引っ越しをしたとき 記念にとプレゼントしてくれたモノで私が物心付いたときには 既に時を刻んでおりましたから確か?昭和40年初期だろうから 44年前のモノだと思われます。 数回OHを経て今日に至りますが 未だに時計の機能はちゃんとしており働いております。 月差数秒なのでヘタなクォーツ時計より正確であり 真夜中に家が静まりかえるとコイツが「カチコチ♪」と 時を刻んでいる音がするのが我が家の日常でもあります。 でも今回はそんな中にも機械の宿命か?時報のカネの回数が合わない? 例えば10時なのに3回しか鳴らないな~んて事が時々起きておりました 何が変なのか?バラして探って見たいと思います。
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あっコレは「愛知時計製の柱時計」の スペシャルエイト60DAYという機種なのですが 愛知(名古屋市)は「八」なので=エイト、スペシャルな八という意味で 命名したのでしょうね? 当時はほとんどが数日巻きが標準だったのに 60日巻き=60日ネジを巻かずに動くという家庭用の柱時計としては メカ的には最高級機種だったのでしょうね? 愛知時計というメーカーを調べると 明治26年 水野伊兵衛氏は長谷川喜七氏を職長として名古屋市東橘町で 「水野時計製造所」を創立し丸Sのマークを付けて ボンボン時計の製造を始めたが翌年愛知時計製造合資会社に併合された。 丸SマークのSは水野伊兵衛氏の屋号の住吉屋(錺職)からとったもの。 愛知時計合資会社になってもこのマークは使用され製造をし製品は 国内のみならず海外に輸出され好評を博した。 昭和2年11月 昭和天皇がご視察。 昭和18年 航空機製造部門を分離し新たに愛知航空機株式会社を設立青木氏を会長に 社長は増本敏三郎氏が就任した。資本金3000万円 昭和24年4月 戦災を受けた旧本社工場を復興再建して船方工場として量水器部門をここに移し 東京都瑞穂工場においては専ら時計製造をする事になった。 昭和27年7月 第二会社として設立された新愛知時計電機株式会社は 27年7月第二会社を設立後清算中の愛知時計電機株式会社を吸収合併して 資本金6400万円となり、同年12月には社名を旧名、愛知時計電機株式会社に変更。 現在は ガス関連機器、水道関連機器、住宅・ビル関連システム、計装システム 金型その他機器、精密諸機械等を製造。 ちなみに当時の精工舎(現SEIKO)は 明治25年 服部金太郎氏は東京市本所区石原町に廃業したガラス工場の建物を利用して 服部時計店時計製造部門の精工舎工場を創業させ同年7月にはじめて 掛時計の生産に成功したと言われておりますが 精工舎は前にも腕時計ネタで書きましたが当時は最高の技術力で 生産、販売をされていた事は言うまでも無いでしょう。 どうしても腕時計は柱時計と違い中身を縮小、精密に生産、加工、組み立てを 必要とするので腕時計メーカーの技術は機械時計技術の究極でしょう。
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時針と分針を外して時刻盤を外すと時計本体の心臓部を覗くことが出来ますが 何が原因か?何度か注油時に機構をよ~く観察してますので 何処がおかしいかすぐ解りましたよ。
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画像に書いてある通りに時報をメカ的にカムで鳴らし ギアで回数を決める機構なのですがムダな部品が一つも無いので 全てがちゃんと機能していないと故障してしまうのも時計のシビアな部分 こんな細いバネ一本外れてもダメですからね。 そして後で分かりましたがただバネを掛け直せばいいんじゃなくて 掛け方や掛けた後のテンションで総合的に他の歯車への負担を 分担しあっている事から強くても弱くてもダメみたいです。 組んでから動かすと振り子の刻む音以外に異音が出るので 解りますからそれりゃ繊細なモノです。
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一度仮組みして動作確認し正確には鳴る様にはなったのですが 「鳴り方」がおかしい。 例えば「カ~ン♪カ~ン♪カ~ン♪」と規則正しく打たなければいけないのに 「カ~ン♪・・・・カ~ン♪・・カ~ン♪」???なんか?変だね もう少し詳しく見ましょう本体を外して横から裏からも見てみましょ。
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目視で確認出来なくてもさすがにコレは精密機械ですね。 原因はどうも今まで注油してきた油が硬化し可動部に 固着した油が抵抗になっている少し洗浄してから再注油し 不要な油は拭き取る、油にホコリが付いて故障の原因になるので。 ホントは全部ばらして洗浄、検証、組み立て、試運転、調整とやるべきだが そこは欲張らず出来る範囲でやっておきます。
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ついでにネジも巻いて~
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やはり狙いはドンピシャでした。 鐘は均等に鳴るだけじゃなく間隔も早く小刻みに鳴る様になりました。 たぶん?OH後はこんな小気味良く鳴っていたんだろうなぁ レベルも出してコレでヨシ!柱時計もまた正確に時を刻んでくれるでしょう。
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オマケで私の腕時計で某有名メーカーの 「スピードマスター」と言うヤツの裏側ですがスケルトン仕様で 中が見えますがコレはストップウォッチ機能が付いており これだけ密度が高く複雑じゃ壊れたら さすがにプライベーターでは修理はムリでしょうね・・・